湘南、箱根 甲府、秩父の強行突破

都心まで行くついでに今日は箱根の方に足を伸ばしてみよう。 先週念願のトップケースもついた。 レインスーツや大判の地図を持っても余裕で入る。 手ぶらのツーリングは思っていた通り楽だ、 いつも二人分の荷物をリュックに詰め込んで 背負っていたのだから大変な苦労だった。 車の修理を依頼した後ドトールで朝食を取り出発だ! 土曜日ゆえ都心の道路はすいている。 順調に神奈川県に入り多摩川を越えた時に思い出した。 「そうだ!たまちゃんを見に行こう。」 最近ではこの先の鶴見川にいるらしい。 後部座席の純ちゃんに提案すると 「鶴見川の何処に出るか分からないし、テレビで見れるから」と却下。 んじゃこのまま箱根までボチボチと走りましょう。 ところが順調だった一号線も保土ヶ谷まで。 その先は予想した通り凄い重体もとい渋滞。 道幅が広いので擦り抜けは可能なのだが、前へ出ても出ても車、車で限が無い。 いらいらし始めるとコンビニで休憩して頭を冷やす。 なんで高速道路って二人乗り出来ないんだろうなぁ。 せめて有料のバイパス位は通してくれれば良いのに。 こうして下道を行くと時間の経つのは早いもので、 やっとたどり着いた大磯ではお昼になっていた。 我慢我慢の連続で疲れ切ったお腹は空いていないが この辺で長めの休憩を兼ねて昼食にした。

 長い午後の始まり

たっぷりと休憩を取り元気も出た。 いつも食べそびれてしまうのでここで食事にして良かった。 駐車場に出ると海も歩いて行けそうな距離なので、 海岸の写真でも撮っておこうと井荻をそこに停めたまま足を運んだ。 工事関係者以外立入禁止の立て札のあるトンネルを抜けると海岸に出た。 抜けるような青空だが沖縄に近づく台風の煽りか波が高い。 雄々しい海だ、この場所は海水浴場では無いのか海の家も無く人もいない。 しかしこの波では泳げ無いか。 貸し切り状態の海岸に感動しながら写真を撮ったりして時間をすごした。 さぁ、再出発だ! がその後も渋滞は続き結局小田原市の早川口まで混んでいた。 再度渋滞の始まる湯本を避けたいが為に、 駄目元で箱根ターンパイクへ上がって行った。 料金所の手前の売店で僕がお手洗いを借りているうちに 純ちゃんが係りの人に確認してくれていた。 「自二車の二人乗りOKだって。やっと気持ち良く走れるよ。」 井荻は坂道を物ともせず登る。大きな左カーブを描く橋に差し掛かるとその奥に 小田原の街と海岸がまるで絵葉書の様に開けていた。 いけないんだろうけど、写真を撮る為に一時停車させてもらった。 それにしてもさっきから、赤いドカティ998とカワサキグリーンのZRXが この坂道を行ったり来たりしている。 戻って来るなら登らなきゃ良いのになぁ、 560円も払ったから元を取るまで走るのかな? 有料の高速ワインディングとは言え、全長の短いこの道では飽きるだろうにナァ。 ま、いいか。みんな色々な目的があって走ってるだから。 大観山パーキングに着くと高額、高性能なオートバイが所狭しと並んでいて モーターショウのようだ。 ここは昔から変わらないナァ。 希少と言う意味では彼等の単車と肩を並べるが、 うちの井荻は高額、高性能では無いな。アハハ。 僕等は湯河原パークウェイ方面に進路を取った。 取り敢えず定番の十国峠を目指す。 その後山の稜線に沿って熱海に降りても良いが、帰りの渋滞を思うとあの辺で 引き返して芦ノ湖に向おう。

 日没

『箱根関所跡』付近で芦ノ湖に降りると湖畔を走る国道はまたしても渋滞。 それでもなんとか箱根神社へたどり着いた。 今日はお守りを家に忘れて来てしまったので、ここでこの先の安全を祈り、 祈願料を払ってお守りを貰って来た。 そうかお守りを忘れて来たからこんなに苦労したんだな、これで今日も安心だ。 心細くなった燃料を補給し、御殿場を目指し進路を北西にとった。 乙女峠の山頂を御殿場側に降り始めると、 夕日を背負ったシルエットの富士山が出迎えてくれた。 ここから見上げる富士山は『富額三十六景』のようで、 とても鋭角にそびえ立って見える。 途中道幅の広くなった所でライダーがガードレールに腰掛け、夕日が眩しいのか、 タバコの煙がしみるのか目を細め、その富士山を眺めていた。 ツーリングにはあの位の余裕が必要だよなと思いながらも走り続けようとする自分に、 ターンパイクを繰り返し走るライダーの姿がだぶった。

 夜

御殿場で早いが夕食にした。 このまま国道246号線で帰路についても良いが今日交通量を考慮して 東京までの時間を考えてみると4時間30分位は掛かるだろう。 今18時だから家に帰り着くのは明日になっているかもしれない。 このまま思い切って甲府を抜け雁坂道を秩父に出るとすると、 8時間はかかるが渋滞は避けることが出来る。 ただそこまで純ちゃんの体力がもつだろうか。少し心配だ。 二人でいくら思案しても答えがでてこない。 「よし!行こう」 体力の限界が来たら宿泊してもいいし。子供達にはその旨電話した。 決まれば後は気合いを入れ直して井荻に全てを任せるだけだ。 富士五湖道路を通れないので、 久しぶりに数年振りに籠坂峠を越え山中湖に向かう。 138号線沿いに登ったコンビニで 眠気覚ましのガムやらキャンディーを買い求め、 山梨県の地図を見ているとライダーブーツ履いたお客さんが 沢山のビールを買い込んでいた。 友人達と泊まりがけでツーリングに来たのだろう。 それを見てちょっと決意が鈍る。 しかも御殿場より少し気温が下がっている、 ここまではTシャツでこれたがこれ以上下がるとしたら 予備に持って着たGジャンで走り切れるか、 心配の種が増えた。がいざとなれば、 トップケースの中には二人分のレインスーツがあり ウィンドブレーカーがわりに着れば15度位までは耐えられる。 そんな事を考えながら山中湖を目指して登り始めると 自衛隊の富士学校まで来た所で寒さに我慢出来なくなった。 早速Gジャンを着込んだのだが、 この時にに寒さにばかり来を取られ純ちゃんの顎紐を締めるのを忘れたまま、 山中湖まで降りてしまった。 先程のお守りが早速御利益を発揮したのだった。 夜の山中湖は波も静かに佇んでいて、とても神秘的だが、 湖畔に目を移すと人工的な灯(ともしび)がそんな情緒を吹き飛ばしてしまう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ このまま湖畔道路の延長である139号で上九一色村を抜け甲府へ出ようと思ったが、 途中で気が変わった河口湖を通り石和温泉に出ることにした。 河口湖で休憩するつもりはなかったが、 あまりにも綺麗なので湖畔の駐車場で一休み。 「大丈夫?」お互いに声を掛け合う。 確かに体力もかなり消耗して純ちゃんは限界に近いはずだろう。 心配だ。 ここで一泊しようとも思ったが ここから見える旅館街はどの部屋もあかりがついていて どうみても満室だ。この時間では旅行案内所も終っている。 一軒づつ聞いて歩くのも億劫なので、出発することにした。 河口湖を出ると137号はすぐに山坂道になった。 さすがに夜の道も慣れてきたがつくづくヘッドライトを レイブリックのマルチリフレクターに換えておいて良かった。 標準の物ではこの暗闇を走り抜けることは至難の技だ。 しかも路肩の気温計は16度を表示している。寒い。 長い御坂トンネルに入ると気温も温かい所で安定し少しホっとした。 それを抜けたところにある料金所の跡地でトイレ休憩。 この道は通称御坂道といって石和と河口湖町を結んでいる。 道幅が広く大変走りやすいのだが、その分走り屋も来る。 後ろから追い付いて来る度に道を譲り先に行かせると 彼等はハザードを燈して礼をする。 3台も行かせただろうかその後道幅が狭くなる頃には道路が貸し切りになって、 前も後ろも、我々を乗せた井荻しか走っていない。 この辺りから石和温泉まで長い直線の坂道が続くのたが、 石和市街の夜景が眼下に宝石を散りばめたように広がりそれは美しい。 中央自動車道を東京方面より下だって来ると 一の宮御坂インターを過ぎた付近で見える夜景だ、 いつもあそこで「綺麗だナァ」と思いながら通過するのだが 高速だと一瞬でこんなに長い時間見たことがない。 なんか得した気分に疲れも忘れ見とれる二人。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 国道20号線で市街に出ると途端に夏が待っていた。 今夜も熱帯夜だ、街の明々と燈されたネオンライトや 大型店舗の照明を見たら開放的な気分になり、 僕は夕涼みツーリングを楽しむ為にTシャツに戻った。 このあと来たる秩父の山岳路に備えて、 石和市街を出る前に給油と休憩をしないといけない。 もう次に大きな街に出る頃は真夜中のはずだからだ。 そんな事を考えながら井荻を流していると ガソリンスタンドが見えたので迷わず入る。 家まで150キロは無いはずだからこれでGAS欠の心配は無くなった。 次は我々の番とファミレスに入る。 疲れが体中のいたるところを占めていて、空腹感を感じない。 チョコバナナパフェで疲れを紛らわした。 しかし騒々しい店だ!BGMも忘れているのかかけていない。 満席でしかも6〜8名のミニ団体客の塊がいくつもあり、 みんな飲んでいるのか店が喧しいのか大声で笑談しているため、 目の前に座っている純ちゃんの声が聞こえないのには苦笑した。 秩父まで74k。かなり遠い気もしたが此処からは渋滞も無く、 雁坂トンネルまで20分程で来れた。 途中井荻を停めて見上げた夜空に、 満点の星空と天の川が応援してくれているように見えた。

 深夜

全長6600mのトンネルを越えしばらく道成りに九十九折りを行くと 突然目の前に秘密基地が現れた! それはまるで石油の精製工場の様に煌々と水銀灯で左右の山肌からを照らし、 その谷全体を昼間のごとく明るく映し出している。 その基地の向こうには大きくループ状に、 こを描く橋が谷を渡すように掛かっている。 その谷の下には見たことも無いような大きな重機の数々。 なんなんだあれは! 秩父山中から石油が出たニュースは聞いていないし、もしや本当に秘密基地? なんて事はあろうはずもなく、 それを正面から望むループ橋の上まで来て謎は解けた。 『ダム建設』だったのだ。 完成した後のダムは何度となく見て来たが、 建設中のそれを見たのは初めてだった。 しかもこんな人っ子一人居ない真夜中に。 これがどれ程の規模のダムなのかは僕には分からないが、 その時、日本一大きな物に見えた。 →BACK TO HOME




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